今年の8月は、大雨が続いた。
その影響で、調査地の河川も増水していた。
いつもカメたちが日光浴している砂州や河岸のコンクリートは、もちろん見当たらない。
こんな日は、一体どこで過ごしているのだろう??
8月の末からは天気が一転。
晴れの日が続き、河川の増水は、もうすっかり落ち着いている。
先週のこと。
同じ調査地でカメの行動を研究している後輩の調査に同行した。
そこで、発信機をつけたカメがどんなところで見つかったのかを教えてもらった。
ニホンイシガメは、どんな場所で河川の増水に耐えていたのか?
イシガメを見つけた現場を見る。
すると。
冬眠明けのカメたちの甲羅も、泥まみれであることを、以前紹介した。
この時のように、泥を背負ったカメたち。
もしかして、増水時に、土の中へ潜っていたのかもしれない…。
今回目視した地点は、アカミミガメとクサガメ、スッポンが主に生息している。
河川の護岸はコンクリートで固められており、ぬかるんだ泥質の土が水底を覆っているような環境だ。
となると、水底の土に潜っていたのではないか…?
イシガメもアカミミガメも、増水時には土の中へと逃げ込む。
けれど、イシガメは土の壁に「埋まり」、アカミミガメは水底へ「潜る」。
どちらも水域・陸域を利用する淡水性カメ類であるが、
この差は、一体何に起因しているのだろう?
おそらく、どちらかといえば水域を得意とするのか、陸域を得意とするのかの差、
そして、土を掘る能力の差も、関係しているはずだ。
イシガメは、どちらかといえば陸域を得意とし、アカミミガメは水域を得意とする。
四肢の形も微妙に異なっており、イシガメは肉厚で硬め、アカミミガメは水掻きの発達した薄めの「手」を持っている。
こうした理由が、増水時の危険回避行動に「差」を作っているのだとしたら…。
「アカミミガメは河川の増水に耐えられず、流されやすい。
けれど在来種は、同じ環境でも増水に耐え、流されないよ。」
木曽川を主な調査地とするある方から、教えてもらったことがある。
水底への回避と、土の壁への回避。
穴を掘る力。
こうした能力の差が、河川の増水への耐性に影響を与えている。
の、かもしれない…。
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