雑食性の意味

「雑食と記載されている種の食性ほど,曖昧なものはない」
魚類を専門とする,「世界淡水魚園水族館アクアトトぎふ」の館長さんがつぶやいた一言だ。


先週月曜の午後。
たまたま,彼の講義を受講する機会があり,講義開始前に少しお話をする機会を得た。



カメシーズンを迎えてから,糞分析の研究を少しずつ進めている。
最近は,ほぼ毎日カメの糞とにらめっこしている。

カメ類の食性が,いかに複雑であるか。
その複雑怪奇さを共有できたことが,嬉しかった。


カメ類は,雑食性である。
これはよく知られた事実だ。
実際に,糞から見つかるものはザリガニや貝類,植物の葉や枝,砂利,釣り糸やビニールテープといった人工物まで。
本当に多種多様なモノが,たくさん見つかる。


何を主食にしているのか?
なぜ,多種多様なモノを食べる必要があるのか?
雑食でなければならない理由,とは??

糞を観察し続ければ続けるほど,謎は積もる。



仮説をいくつか考えて見ると,大きく2パターンに分けられる。

・季節によって得られる資源が異なるために,多種多様な資源が必要である。
・消化効率があまりよくないために,さまざまな種類の資源が必要である。
・ハンター力(餌を捕まえる力)が乏しいため,栄養価の低い資源も食べる必要がある。

または

・グルメで食べ物の好き嫌いがあるため,さまざまな資源を利用する。
・成長過程によって必要な栄養素が異なるため,さまざまな資源を利用する。
etc...

基本的には雑食性でなんでも食べられないと「いけない」,必要が迫られているからか。
または,人間のように,食物資源を「選り好み」しているからか。



雑食性の意味。
野生個体の糞が,いつか答えを教えてくれるのだろうか。

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亀に踏まれて -KAME HACK-

主に「野生の亀」について探求しています。 現在、西表島で研究中。