遺体を掘り起こす

あれから、三か月が経った。

そろそろ掘り起こしてみよう。


そう思って、おとといの夕方は早めに帰宅した。




甲羅を傷つけないよう、慎重に土を掘り返す。

悪臭もなく、淡々と掘り起こしていく。


すると、綺麗な甲羅が見えてきた。

顔や手足の位置を想像しながら掘り進めていくと、甲羅の中側が確認できるようになった。



…すごい。

甲羅の中は、最初から何も入っていなかったかのように空っぽだった。


四肢の骨はどこだろう?


…なるほど、細かい骨の周りについている肉が一番最後に分解されるようで、首の脊椎骨や腕の骨の周りは、ドロッとしたモノが、まだまとわりついている。

「土」は、ここから生まれるのか。。。


黙々と作業を続け、バットにすべての骨を取り出した。


甲羅以外の骨には軽く土をかけておく。

あとほんの少しで、肉だった部分は、すべてが土へと還りそうだ。


標本になるまで、あとちょっとだ。






「土に還る」という表現通り、骨以外は本当に土になってしまっていた。


土の誕生に感動したり、微生物の分解力に驚いたり…。

掘り返しては観察、掘り返しては観察、と作業していると

楽しくて、あっという間に時間が過ぎていった。


何より、遺体の処理にはキツイ臭いがつきものだと思っていたのだが、今回の処理方法は全く悪臭がしなかったことに一番驚いた。



この処理方法を教えてくれた子に、本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。

また、たくさんの学びを与えてくれる、このイシガメにも感謝の気持ちを込めて。







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亀に踏まれて -KAME HACK-

主に「野生の亀」について探求しています。 現在、西表島で研究中。