イシガメの遺体


「日曜日は気温が上がるから、調査へ行きます」


春のようなポカポカ陽気だった、一昨日。

カメの研究をしている後輩の調査地へ同行し、一緒にカメを探していた。



のんびりとしたカメを見て、のんびりとした気持ちで調査していた。


のだが。




ひょんなことから、川に沈んでいるニホンイシガメの死体を見つけた。



外傷はないけれど、、

何故、息を引き取ってしまったのだろう…。


冬眠が上手くできず、衰弱死してしまったのだろうか…。







さみしい気持ちを残しつつも、

この死体を、どうしようかと考える。






やっぱり、白骨標本にするかな…



あ、そういえば。

標本作製が、得意な子が身近にいたぞ…。





同じ研究室のメンバーに

哺乳類や鳥類、両爬類など、骨のある生き物を白骨標本にするのが得意な子がいるのだ。




早速、死体を研究室へ持ち帰り、相談する。




「イシガメの死体を、白骨標本にしたいんだけど、、、」


「タンパク質部分は、時間はかかるけど、土に埋めて分解させるのがいいと思いますよ」






ということで、カメを埋めるための土と容器を貸してくれることに。



昨晩、家へ来て、イシガメを埋葬してくれた。


スコップを使ってサクサクと土を移動させ、手際よく埋めていく。


…作業は、たったの5分くらいで終了した。




「3か月くらいたったら、掘り起こしてみてください」








死亡していたこのイシガメは、身体の大きい、甲羅の丸みが凛々しいメスだった。

おそらく、8齢は超えていただろう。


厳しい自然界で、何年も生き延びていたイシガメ。




本当に、「お疲れさま」という気持ちでいっぱいだ。






3か月後。


イシガメは、白骨標本となって、またその美しい姿を見せてくれるだろう。




今はただ、安らかに。ゆっくり眠ってね。



0コメント

  • 1000 / 1000

亀に踏まれて -KAME HACK-

主に「野生の亀」について探求しています。 現在、西表島で研究中。