川で眠るカメ


新年最初の投稿が2月になってしまいました。

昨日は、立春。

もう少し暖かくなってきたら、野外のカメたちも、冬眠から目覚めてくるだろう。



先週、冬眠中のカメたちが見たくて、師匠と二人で川に入ってきた。

冬期の野外調査は、初めてだった。

夏場は半そで半ズボンで川の中を動き回るが、さすがに1月の川にその恰好では入れない。

研究室でウェダー(胴長)を借りて、半そでを重ね着。

一日のうちで一番暖かい午後2時に。いざ、入水。



…水は思ったよりも冷たく感じなかった。

幸い、風があまり吹いておらず、日差しが暖かい。

これなら、一時間くらいは川でカメ探しができそうだ。




開始直後の風景写真を数枚撮っていた、その瞬間。


師匠の両手には、ニホンイシガメが。


「?!?!」


捕まえるの、、、早っ!!


2匹のイシガメは幼若個体と体の大きなメス個体だった。

2匹とも顔を出してくれたが、なんと、目が半目。

いかにも、「いまさっきまで寝てました」というなんともまぬけで愛らしい顔。


わー、本当に眠っていたんだなぁ…。

と、しばし感動してしまった。



さらに5分後、他のイシガメ個体を1匹捕らえた。


この子も同様に、寝起きの顔を見せてくれた。




師匠は、さらに上流の泥深い箇所でクサガメを3匹捕獲。


師匠曰く、クサガメはびっくりして逃げている(泳いでいる)ところを捕まえた、とのことだ。


…師匠、本当に、、流石です。




クサガメは黒化前のオスが2匹と体の大きなメスが1匹。

3匹とも、同じような場所に固まって冬眠していたようだ。



水の冷たさで手がかじかんでしまったので、1時間ほどで川から引き上げた。



計6匹のカメとの出逢い。

全部師匠が見つけた、というのが悔しいけれど…

充実した調査だった。






この川には、イシガメ、クサガメ、スッポン、アカミミガメの4種が同所的に生息している。

しかし今回の調査では、スッポンとアカミミガメは見つからなかった。


スッポンは水底の土の中深くに潜り込んで冬眠をする、と聞いたことがある。

そのため、触れられる溝を手探りで探す方法では、見つけられなかったのかもしれない。

意外だったのは、アカミミガメが捕獲できなかったことだ。

夏期の調査では、一番捕獲率の高い種であるのに…。

アカミミガメにとっては、夏場は過ごしやすい環境でも、冬眠するのには適さない環境なのだろうか。



また、捕獲した2種についても、新しい発見があった。

種類の違うイシガメとクサガメでは、越冬する環境の好みが微妙に違うようだ。

イシガメは草木の下に、クサガメは少しぬかるんだ泥地に密集していた。

さらに、同じ水環境でも、冬眠の「度合」が違うように思えた。

イシガメはぐっすり眠っていたのに対し、クサガメは驚いて逃げようと泳ぎ回った。

水温の影響なのか、水中の酸素濃度の影響なのか…その理由はわからないが、この2種の生理活性が異なっていることは確かなようだ。




新しい発見と新しい謎。

カメたちの冬眠が終わる前に、あと何回か、再び川へ入りに行きたい。

研究・調査は、カメたちの目覚める春から、と思っていたけど…



もう、立春。



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亀に踏まれて -KAME HACK-

主に「野生の亀」について探求しています。 現在、西表島で研究中。