a.m.5:50。
あと10分で、集合時間。
カメの捕獲調査に同行するため、急いで集合場所まで向かっていた、ある日のこと。
前日の夜は雨が降っていたからか、路面は濡れていた。
今思い返せば、いかにも滑りそうな、ツルツルの道だった。
自転車に取り付けているメーターは、30km/h弱のスピードを指していた。
左折しようとブレーキをかけながら曲がろうとして、案の定思いっきり滑った。
ズザザザザー。
自転車から投げ出されて、そのまま転がった。
左足の膝を強打して、出血。
結局この怪我は、後一週間は血が止まらず、かさぶたができた後も、膝の形が変形したままだ。
今は膝の形がヘンになっただけで痛みはなく、とくに支障はない。
のだが。
その時、一番お気に入りのMAMMUTのパンツに穴が開いてしまった。
7.5cm×6.5cmの大きな穴。
…ショック。ものすごくショック。
膝よりも何よりも、縫っても隠れないパンツの破れ痕に頭を抱えた。
数日後。
タンスの中からカメワッペンのついたジャージを見つけてピンときた。
このワッペン付きジャージは、 高校時代、部活のジャージに穴が開いた際、母がカメのワッペンを縫い付けてくれたものだった。
早速通販でカメワッペンを探す。
7.5cm×6.5cm以上のワッペンがなかなか見つからず苦戦したが、何とかゲット。
そして今朝。
MAMMUTのパンツは立体構造が特徴のパンツで、元のような運動機能が保てているかは分からない。
見た目も、カッコよさが無くなってしまった。
けれど、破れた痕も（ギリギリ）隠せたし、なにより、カメグッズが増えたことが嬉しかった。
世界に一つのカメパンツ。
禍を転じて亀（グッズ）と成す。
たまには、転ぶのも悪くない。
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