河川に暮らすカメと池に暮らすカメとでは、生息する環境が大きく異なる。
河川は常に流れがあり、雨が降ると増水して水の流れが速くなる。
その変化量は雨量に影響しているため、生活環境はその日の天気によってめまぐるしく変わる。
昨日(7日)は台風10号の影響で大雨が降った。
増水した河川にGPS発信機を付けたカメが離されているとのことで、本日もまた後輩の調査に着いて行かせてもらった。
河川が増水し流速が速くなった時、一体カメはどうやりくりしているのだろう?
今回追いかけた個体はクサガメのオス。
アンテナを用いて電波が入るところを探し出す。
発信音が大きく聞こえる方へ、徐々に距離を詰めていく。
カメも動きまわるので、その度に電波を拾って必死に追いかける。
カメとヒトとの、真剣勝負の追いかけっこ。
そして奮闘すること2時間半。
発信機をつけたクサガメを目視でとらえることができた。
クサガメがいた場所は、放流した河川ではなく隣の小川内だった。
カメの捕獲をしている方々から様々な経験談をきかせてもらう中で、思うことがある。
雨が降り増水した河川では、増水した翌日の下流における捕獲数が増加する。
また、増水した翌日の目視観察ではカメの観察数が極端に減少し、小さな水路や小川での観察数と捕獲数が増加するという。
さらに増水が収まると、再び増水前の観察数と同程度のカメが見られるのだそうだ。
こういった体験談から、河川の増水で流されるカメと増水した河川からエスケープする(逃げる)カメがいるように考えられる。
そして増水が収まる頃に、回帰している個体がいるように思える。
カメ類の行動把握はとても難しい。
水域・陸域を移動するのみならず長寿であるため、生活史を追うのに時間がかかるからだ。
淡水棲カメ類の寿命を約30年とすると…1つ(1個体)のデータをとるのに、一体どれだけの時間を要するのか。
今回後輩がGPSを用いてテレメトリーした調査内容は、確実に重要なデータとなる。
ただし個人で調べられる研究量でカメ類の生活史すべてを把握することは非常に困難だ。
なぜなら、圧倒的にデータ量が不足しているから。
だからこそ、多くの方々が調査した(経験した)「カメの行動」を総合的に考え、まとめる必要があると思う。
私は自らがカメの研究をしたいのはもちろんだが、様々な方が研究してきたカメの研究、そのすべてにアンテナを張り続けていきたいと思っている。
それはカメを研究するのに人(生)の時間が短すぎる、というギャップを埋めるためである。
人の生きる時間を使ってカメを追いかけること。
それが難しいことであるのは間違いないが、成し遂げられないことではないと思っている。
いつか、カメの生活史を網羅できる日が来るのかな。
それが今の私の、将来の夢で目標。 かなぁ。
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