木曽路のカメ

カメがモチーフに選ばれ、作られた「モノ」を見つけると、

「このモノを作った人は、なぜカメを選んだのだろう?」

と疑問に思う。


世の中には、多種多様な生物が存在する。

その中から「カメ」をモチーフに選ぶ理由…。



さらに、

「作った人は、どんな風にカメを見ているのだろう?」

という疑問も浮かぶ。


他者から見える「カメ」の、姿かたち。

それは本当に人ぞれぞれで、だからこそ、カメグッズを揃えるのは、とても楽しいのだが…。

私は今、岐阜県に暮らしている。

岐阜は、陸に囲まれた「海なし県」であり、だからこそ、東西南北、さまざまな文化が混ざり合うマーブル色の県である。


そんな岐阜の東は、木曽の文化が色濃い地域である。

江戸と京を繋ぐ中山道・木曽路。

木曽路の入り口は、岐阜県の最東端だ。


ついこの間、木曽路の入り口である中津川へ遊びに行ってきた。

岐阜と長野の土産物で溢れる中津川の「道の駅」は、ツーリングに来た方々や家族連れの観光客で賑わっていた。


そこで見つけた、カメ。

写真のカメたちは、木曽路の道の駅にて、ひっそりと。

そして黙々と、水を噴き出していた。



第一印象は、「なんだこの、マーライオンみたいなカメは??」だ。

恐らく淡水のカメをモチーフにしたこのカメは、色々と違和感があって、思わず立ち止まって観察してしまう。

あまりにも地味で小さいそのカメに、他に興味を示す人はいない。


足の太さからはリクガメを想像してしまうが、甲羅の縁の広がり方はミズガメっぽい。

そして何より、コンセプトがさっぱりわからない…。


木曽は地域的に、カメが多い場所ではない。

標高が高い所や日照が少ない地域は、カメの生息には向いていないためだ。


水をピューっと噴き出す口…。

水が豊富な地域であることを、アピールするためなのか??

にしても…なぜ、カメ??


面白くて、ついつい写真を撮る。

そしてハッとする。


このカメを作った人にとっては、これが、「カメ」なのだと。



カメといえば、こんな甲羅。

カメといえば、こんな足。

カメといえば、水。


水が豊富な地域にふさわしい、そんな生き物といえば、カメなのだ。



…面白い。

私が見ているカメと、このカメの制作者が見ているカメは、こんなにも違うのだ。

違和感を感じて立ち止まってしまうほどに違うのだけれど、「カメ」という共通の認識で見ているのだ。


カメって、本当に面白い。

いろんな人たちに、いろんな見方があることを教えてくれる生き物だ。

そして私たちは、そんなカメたちに魅せられて、ついつい、像を作ったり、ブログを書いたりしてしまう。



木曽路に生息する、魅惑的なカメの像。

どこへ行っても、「カメ」から学ぶことは、やはり、たくさんある。




0コメント

  • 1000 / 1000

亀に踏まれて -KAME HACK-

主に「野生の亀」について探求しています。 現在、西表島で研究中。