肖像画

15年前から飼っている、クサガメの「をく」。

私が実家を離れてからは、両親が面倒をみてくれている。

そのため、今は実家へ帰省した時にしか会うことができない。


をくを置いていった最初の頃は、をくの食欲や健康が何かと心配だった。

母に繰り返し電話をして、

「をくは元気?」と、聞いて確かめていた。

ところが。


あれから数年が経ち、をくのお世話は父の役割となった。

というか、父が張り切ってお世話をするようになったのだ。

餌やりはもちろんのこと、水かえ、掃除、水槽内の住環境管理…。

お寿司でマグロを食べた時には、自分の取り分を分け与え、

鶏肉を調理する時は、必ずをくのために小さく切った肉片を残す。

初夏のとある休日には、子供用プールをベランダに広げ、をくが広い空間で泳げるようにセットする。

夕暮れ時になると、カメ用のエビやおやつを、をくと一緒につまみながらビールを飲んでいるらしい。

(※良い子は真似をしないでね!)


今まで私が面倒を見ていた時には、父がカメに興味を示したことなど一度もなかったというのに…。

あの、見向きもしなかった父が、何故?


をくと父が、共に過ごした15年。

この15年という時間が、父を少しずつ変えていったのだろうか…。




ついこの間、年末年始に帰省した時のこと。

玄関には、をくの肖像画が飾られていた。


父が、CLIP STUDIOを使って描いたのだそうだ。


をくの嘴や目の特徴が、細かく描かれた絵。

まさか、肖像画を描くほど(しかも玄関に飾るほど)好きだったとは、、。


カメを飼育した当初は、家族がこんなにカメを好きになるなんて思いもしなかった。

けれど寿命の長いカメ(をく)は、少しずつ、長い時間をかけて家族に影響を与えていたようだ。


カメの飼育は、長期に及ぶ。

安易に飼えないペットではあるが、だからこそ、長い間を家族として共に過ごす。


その影響力は計り知れないと、実体験から確信する。


カメの飼育をお考えの方は、ぜひ、カメが持つ影響力を過小評価しないでいただきたい。

あなたのお家でも、カメを愛して肖像画を飾る日がやって来るかもしれない。



0コメント

  • 1000 / 1000

亀に踏まれて -KAME HACK-

主に「野生の亀」について探求しています。 現在、西表島で研究中。