ハコガメはリクガメか?

  先日、WWFの付録を頂いた。

 ルーペ付の木製のしおりで、ヤエヤマセマルハコガメが描かれている。

 亀だから、と、叔母が私にくれたのだ



 しおりが入っていた封筒には、しおりに描かれている動物の説明文がついていた。


 「石垣島と西表島に暮らすリクガメ。丸みを帯びた…」 


 …ん? リクガメ?? 

 ヤエヤマセマルハコガメは、「リクガメ」なのか?



 あなたが「リクガメ」という言葉を耳にして、すぐにパッと思い浮かぶ種はなんだろうか。

 ガラパゴスゾウガメ、ケヅメリクガメ、ギリシャリクガメ、ホシガメ、ロシアリクガメ…。


 ちなみに、上記5種はすべて、カメ目リクガメ科に属している。

 なので系統分類的に見ても、親戚であることが良く分かる。


 ところが、ヤエヤマセマルハコガメの学術的分類は、以下の通り。


 カメ目 イシガメ科 ハコガメ属 ヤエヤマセマルハコガメ (セマルハコガメの亜種)


 つまり、科(family)単位で見ると、ヤエヤマセマルハコガメはニホンイシガメやクサガメの親戚だ。



 実は「リクガメ」という言葉は、とても曖昧なのだ。

 カメ目リクガメ科に属する種の総称である場合もあれば、主に陸で生活するカメの総称、とする場合もある。


 今回のWWFの説明文でいう「リクガメ」は、後者にあたる


 けれど、主に陸で生活する、って…なんだかすごく曖昧だ。


 なんとなく陸にいるからリクガメ、海にいるからウミガメ、と分類する方が直感的にわかりやすいのかもしれない。



 でもその境界線は、やっぱり分類系統群に従って決定されるべきであると思う。


 進化的背景をとらえた上で、理解すること。


 その方が、カメに対する理解はずっと深まる。 


 ちなみにハコガメは英語でbox turtle。

 英語でもやはり、tortoiseとはいわないのだ。 




 それを踏まえて、もう一度。


 はたして ヤエヤマセマルハコガメは、「リクガメ」か?




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亀に踏まれて -KAME HACK-

主に「野生の亀」について探求しています。 現在、西表島で研究中。